2007年01月18日

いまさら好みを知る

ひとひら (3)』  桐原いずみ 著  (双葉社) 

今回も書評買い。常道のストーリーで格別の魅力があるわけではない。しかし、ハッピーだけの展開に逃げているわけではなく、困難や挫折を「ふだんの出来事」として語っているところが好印象。ネタを引っ張らず、かと言って流しもしないスタンスがいい。作り手がまじめなのだろう。

改めて「学生集団モノ」がじぶんのツボだと気がついた。突飛すぎない学校生活と突飛かもしれないキャラクター。ゆるやかに流れる時間のなかで起きるささやかなドラマ。...トラウマでもあるのか?

とりあえず野乃先輩の解脱気味のクールさを見るだけでも楽しめる。


---
記:2007-01-18

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2007年01月14日

まにまには日本語

宙のまにまに (2)』  柏原麻実 著  (講談社) 

書評をみて購入した1巻では肩透かしだった。ほどよい甘さだが拙い。しかし、そこは欠番強迫症。しばらくためらったもののやっぱり2巻も購入してしまった。

そんなことだから話を覚えているはずもなく、よっことしょっと1巻をおさらいすると、これがなぜだか楽しく読めてしまった。なんといい加減な感性。(で、お詫び半分で書いているので内容は薄いよ)
続く2巻も悪くない。作りもこなれてきた感じだ。後半の新キャラ展開のベタさはこちらがジタバタ恥ずかしくなるのでやや減点。

星をからめた青春モノ。『宙のまにまに』は『ふたつのスピカ』に『彼氏彼女の事情』をかぶせたような作品だ。気分は似ていても両作品よりはずいぶん軽い。そして、重くなるべきでもない。

星座と物語の関係を語った2巻のエピソード「言葉の星」が光っていた。素朴な感覚論までだとしても確かな手触りがそこにはある。3巻はためらいなく購入だ。


---
記:2007-01-14

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2007年01月04日

聞こうとせず、見ようとせよ

17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義』  松岡正剛 著  (春秋社) 

12月31日に届く。あきれるほどに短い正月休み。バタバタと用事をしながらスルスルと読了し、じつに年始にふさわしい読書体験だと確信する。今年は良い年になる。

帝塚山学院大学での松岡正剛氏の講義をまとめた1冊。講義を受けた学生を羨ましいとは思うものの、学生時代に同じ幸運に恵まれたとしてもいまの感動に気づくことはなかったかもしれない。とにかく「答え」を求めすぎていたからだ。

世界と日本の人間文化を俯瞰する5回の講義には『人間と文化の大事な関係』、『物語のしくみ、宗教のしくみ』、『キリスト今日の神の謎』、『日本について考えてみよう』、『ヨーロッパと日本をつなげる』という章題がついている。いずれも素直で衒いがない。あの頃のぼくはセイゴオ先生の博覧強記ぶりにエンターテインメントを感じても、ひとつひとつの結論を「ありきたり」と流してしまったかもしれない。

しかし、結論に気をとられてはいけない。タイトルには何とあったか。そう、「見方」だ。セイゴオ先生の「見方」、それを支える思考と方法に震える。やぁ、ぼくも進化したものだ。

まだ1回しか読んでいない。きっと何回も読み返す。じぶんの目で見るために。


---
記:2007-01-04

feedpath tags: ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 感想

2006年12月31日

疲れるほどの見応え

今年の締めはこのアニメ。

鉄コン筋クリート



まずは平謝りです。声優さん、まったく問題ありませんでした。それどころか別のキャストが思いつかないほどの出来でした。疑問視したりしてまったく申し訳ない。まだまだ見る目がないことを思い知りました。

ちょっと酔った。ふだん見ているアニメとはフォーカスのあてかたがちがう。慣れないとキツイかも。上映時間も長め。もうすこし短くても良いかもしれない。

しかし、まったく退屈しない。映像に圧迫される。さらりと何気なく描かれた背景にもおろそかにできない密度がある。コチラが追いつけていない。だから、疲れる。このクオリティに大きなスクリーンで接するには覚悟が必要だ。
DVDを待って自宅のTVで鑑賞するのも正解。だが、あのエンドロールは劇場サイズで価値が倍加する。見逃すには惜しい。

シンプルなエンターテインメントではないからこその映画。あぁ、良い年末だ。

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年12月12日

007

原点回帰を図った『007 カジノ・ロワイヤル』は見る価値があった。スピーディでタフ。007が『ボーン・アイデンティティー』や『ボーン・スプレマシー』の感覚。まずオススメです。

ほぼ無言でたたみかけるアクションシーンで骨太く突き上げられる。説明カットを省いた速度のある展開ながら、ちゃんと理解できるストーリーも好印象。必要十分な複雑さで、軽すぎず重すぎずの娯楽作です。
キャラクターの魅力も十分。新しいジェームス・ボンドのダニエル・クレイグが、一瞬、ショーン・コネリーに見えてしまった。どこに共通点があったんだろ?

初代に還るところはルパン三世を思わせる。してみると、ピアース・ブロスナンは宮崎ルパンということか。それはそれでまた見たい。

欠点をひとつ。秘密兵器やスパイグッズは少ないです。そこを楽しみたいヒトは肩すかしを覚悟してからどうぞ。

feedpath tags: ,   generated by feedpath
posted by galeki at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年11月29日

少年は叫んでナンボ

涼宮ハルヒの消失』  谷川流 著  (角川書店) 

たにかわ、の次は、たにがわ。

アニメにつられて原作を読んでいる。小説を読みこなすだけの集中力がなくて時間かかりまくり。最初の3冊はそこそこ楽しめるというぐらいで「平均点プラス」ぐらいの評価だったが、この巻にきてググッとひきこまれた。ページをめくる手つきが変わる。

おもしろい。巻を重ねていることが下地になって一気にドラマが雪崩れた。頃合いだったのかもしれない。ぼんやりとマンネリを楽しむかと思いきや、いきなり世界をひっくりかえしてカオスに突入。あとは主人公ともども転がされていく。

シメは感情の沸騰。
リクツを叩き伏せる叫びは若さの特権か。いや、叫ぶものこそ少年なのだ。


---
記:2006-11-29

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年10月31日

オトナの視線

積極』  谷川史子 著  (集英社) 

ファンになってしまうと、どうしても評価が甘めになってしまう。出来はともかく「出し続けてくれればOK」という気分になるからだ。(消息不明が一番困る) しかし、今回はたとえ谷川史子ファンではなかったとしても褒めていたに違いない。そんな出来だった。

こんなことを書くのは前作『花と惑星』が何とも消化不良だったから。オトナを意識した話作りだったと思うのだが、道具立てをオトナっぽくしただけに終わった感じで、どうにもオススメしにくい一冊だった。

だが、この『積極』は違った。収録された話すべてに一読の価値がある。

前作との違いは視線。意識の方向。コドモは明日を見て歩く。オトナは今日を見て歩く。表題作でははっきりとオトナ視点でまとめられていて納得できる。コドモであってほしかった読み手には不快かもしれないが、二兎を追うことはできないのだから諦めよう。失ったものは失ったまま。そうあるべき話なのだ。

その他にもマルチプロットで剛腕仕立てなストーリーが収録されていてなかなか楽しませる。傑作とまでは言えなさそうだが、ぐぐっと進化しているところが見えて嬉しくなる。あー、これ、まったくのファンコメントだ。


---
記:2006-10-31

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年09月02日

いっしょに廻っとく

それでも町は廻っている 1 (1)』  石黒正数 著  (少年画報社) 

おもしろい。笑って声がでた。

なつかしい匂いのする画はどことなく板橋しゅうほうを思わせなくもなく、安易に「古い」と斬ってすてられないキワキワさ。21世紀に生き延びた80年代、地に足がついて離れない商店街、庶民すぎて脱力満点のキャラクター。秀れたチープ・バランス。

読み始めはぺたーっとした会話劇だが、いつのまにやらボコボコと突沸する小ネタにつかまり笑わされるという絶妙。思いつきのおしゃべりでのみ成立する、じつにくだらないダジャレや連想が、数コマ現れてはさっと消える。どうでも良すぎ。構図でも笑わせるテクニカルも装備。

メイド長のモノローグと木星人だけで読む価値あり。推理小説ファンも(なんとなく)どうぞ。


---
記:2006-09-02

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 16:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 感想

2006年09月01日

かみさま、たまさか

かんなぎ 1 (1)』  武梨えり 著  (一迅社) 

ふしぎに愉し。描線はゆるく流れ、消えゆく際でぽうっと溶ける。
軽快な不確かさ。なくてあり、ありてなく、けれども確かに触れる。
白々とした薄紅色の嘘、それが愉し。


偶然、書評をみて購入した一冊。

行き場を失った可愛らしい少女の姿をした神様と、訳ありそうに見えるがとりあえずは普通の少年とのコミカルな日常を描くという、安心感がありすぎて逆に物足りなくなりかねない筋立て。

基本はコミカルタッチだが、ところどころにピリッとした感覚がまいてあり、これが気になる。多彩かつ奥行きあるキャラクターの表情、これに惹かれる。無個性な見やすさを装いながらも十分な新鮮さ。
この表紙、ちょっと店頭で手にとるのをためらうけれど乗り越えろ。無理ならアマゾンを頼れ。

この先どちらに転んでも良し。もちろん次巻も買い。


---
記:2006-09-01

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月30日

ダージリン シュパーブ

にわか紅茶ファン参上。

今回は"216 The Strand"のスペシャリティーで「102 ダージリン シュパーブ」。まとめて買ったのはこの2つだから次回は遠いぞ。浸出時間3分30秒で指定通り。

さて、片岡物産いわく「芳醇なマスカテルフレーバーと上質の渋みが調和する深く端正な味わいの気品ある一品です」とのこと。マスカテルフレーバーってなんだ?と調べるとマスカット種のぶどうのことだと判明。あまりのそのまんまさに、じぶんの連想力の乏しさを指摘されたようでガックリする。

「ダージリンが好き」というとフツーっぽくてやるせないのだが、事実なので認めます。カップを寄せるとわずかにリンゴのような甘い香りが。食欲(?)をそそる。ぶどうではないがフルーティには違いない。香りは口に含むと消えてしまう。むむ?
上質の渋みを知覚できず。淹れかたがマズかったのか。しかし、それはそれで飲みやすい。この値段で「ガブガブいける」という評価はありがたくないかもね。まぁ、アタマで解釈しなければ美味くないものよりはマシ。

もうひといき濃厚ならほぼ理想形かも。(あぁ、一般人)

feedpath tags:   generated by feedpath
posted by galeki at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月28日

ロシアン キャラバン

仕事のきつけ薬として紅茶を買ってみました。味覚が鋭いわけでもないのに、葉っぱをいろいろ試したくなるのは、セレブリティではなくオタクの感性によるものだと考えることにします。

今回は最高級英国紅茶をうたう"216 The Strand"というブランド。プレステージブレンドの「114 ロシアン キャラバン」を浸出時間3分で。ティーバックに電気ポットのお湯なので全然高級に見えません。

片岡物産によると「キャラバン隊によって運ばれロシアの貴族に愛飲された、柔らかくスモーキーな香りのエキゾティックな風味です」とのこと。

はい。たしかにスモーキーです。カップを近づけるとぶわっとケムリます。燻しが苦手なひとはダメでしょうね。中間派としては評価が難しい。わざわざスモーキーにしなくても良いわけですが、ま、目覚ましとしてはアリかもしれません。
香りは独特ですが味は落ち着いてます。ふつうです。エキゾチックにありがちな尖った酸味(苦味?)がありますがキツくはありません。ゴクゴクいけます。冷めると香りも立たないのでふつう過ぎです。

たまに風変わりを楽しむのには良い、としておきます。

feedpath tags:   generated by feedpath
posted by galeki at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月18日

非凡の平凡な日常

レナード現象には理由がある』  川原泉 著  (白泉社) 

淡々と、しかし一気に読了。この著者ならではのサラリとしたコメディが詰まっていて満足感のある一冊。サル、最高。

超・進学校を舞台にした連作が4本。それぞれ主人公となる男女は違うのだが、キャラがキャラを呼んで世界が濃密になっていくところがこのスタイルの楽しさか。思うに、熱さや濃さが苦手な照れ屋さんがドラマをたくさん描くには最適な手法ではなかろうか。さらに続けていただくことを強く希望する。

それにしても、この尋常ではない平凡さは何なのだろう。どう考えても普通じゃない登場人物が集まっているのに、どの話も「日常の1コマ」みたいな風情に仕上がっている。低温キャラばかりのほのぼの空間。不思議だ。


---
記:2006-08-18

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月13日

あるイミでスゴイ ※

レイトショーで観ました。

ゲド戦記

ゲド戦記・オリジナルサウンドトラック

お客さん、けっこう入ってました。

エンドロールの最後まで座っていたお客さんが多かった。なぜか?
どちらかというと平板な展開だったのに眠くならなかった。なぜか?
ストーリーを理解できてないのにわかったような気がした。なぜか?

さて、この続きは後日、まとめるチカラが湧いてくれば...。

feedpath tags: , , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 02:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 感想

2006年08月09日

迷いの一冊

ナムチ―臥竜解封録』  高寺彰彦 著  (チクマ秀版社) 

アスキーコミック版をもっているんですが、明らかに話途中で終わってるんですねぇ。

で、復刊となるチクマ秀版社版には「増補最終頁」がつくらしい。増えたのは多くて30頁ぐらいのようなので、設定資料やらなんやらがつくという情報から推察するに、本編のほうはバタバタとまとめてしまっている予感満載です。危険!

しかし読みたい、読まねばならぬ。モノノケ・ヒト・ケモノが混じりあう古代日本を思わせる世界、このユーモラスでキメのある描写が楽しい。

とりあえず立ち読みか?(買ったら続きます...)


---
記:2006-08-09

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月05日

うつむき顔からホップする

ガーネット』  奥華子  (ポニーキャニオン) 

映画のサントラに入っていた主題歌がショートバージョン過ぎてたまらず買ってしまったのですが、目当てではなかった挿入歌の出来も予想以上に良くてムダ感のない買いものになりました。この3曲(アレンジ違いがあるので実質2曲)でこの値段はコストパフォーマンスが高い!

男の子の詩情がながれる。可愛らしさに覚悟がにじむ。

張っているようで息苦しくまでは感じない歌声で、くりかえし聞いても疲れずにひたれる良さがある。こうなると前作も集めてしまいたくなるのだが、現在進行形の歌い手だからこそ過去を見ないほうが賢明ということも。悩ましい。


---
記:2006-08-09

feedpath tags: ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年08月04日

ゆるやかで、ナナメ

リストランテ・パラディーゾ』  オノ・ナツメ 著  (太田出版) 

語る瞼にへの字の沈思。ぱたりぱたりと運ぶコマ。ナナメにまっすぐな描線。いいですね。

登場人物はオトナばかり。歳をとっててもとってなくても、それぞれなりの分別があるから安定した気分で読んでいられます。快適読書。
コドモばかりの国がないように、ここもやっぱりあり得なさがたまらない理想郷で、とっとと逃げこみたくなるような心地になってしまいます。でも、この世界、きっちり働かないと居させてくれなさそうな厳しさも感じます。当然の代償か。

穏やかに楽しみたいときにオススメ。


---
記:2006-08-09

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
posted by galeki at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想

2006年07月29日

かけて観るべし

混じりっけなしの満足感をもって劇場をでたのは久しぶりかもしれません。

時をかける少女

時をかける少女 サウンドトラック

主人公の声に違和感があったのですがすぐに馴染めましたし、ナミダ描写などアニメ的表現が強めなところにはちょっと引っかりもありましたが、それより先にストーリーと雰囲気に浸れてしまうので「後から思えば」程度の問題です。素直にスクリーンに向かいましょう。

鍵となる時間移動を説明するシーンがほとんどないにもかかわらず、現在と過去をビュンビュン往復する構成がすんなり理解できたことに驚きました。登場人物のいたってフツーな行動の積み重ねで物語が紡がれているのも評価したいポイントです。サブキャラの男子高校生ふたりが会話しているシーンが聞きどころ。声優さんたちの演技も良いのでしょうね。

原作や実写映画版のほうはよく知らないのですがまったく問題ありませんでした。知ってる人は原作キャラクターの登場でニヤリとできるのかも。いま思い返してみると、セリフにより多く意味を見いだせたかも、という気はします。

DVDで楽しむのも良いですが、大きいスクリーンで見たほうが良いシーンもちらほらあります。上映館数が少なくて興行としては控えめですが、シネコンならサブスクリーンのほうが音響が良かったりしますので(ウチの近所だけ?)プラス面もありますしね。

夏の青空に入道雲。制服の少年少女。オススメの一本です。

feedpath tags: , ,   generated by feedpath
続きを読む
posted by galeki at 14:00| Comment(2) | TrackBack(24) | 感想